ケルン、ライデン、スパ
先週は風邪をこじらせた同僚に代わってツアーに出ていました。
本番は地元ケルン、オランダのライデン、そしてベルギーのスパ。ケルンは国境に近く、オランダ、ベルギーでの本番が度々あります。
最初の本番はケルン、練習場近くのBalloniという会場です。ここは昔工場だったところを改造して、今は一部レストラン、一部はおしゃれな小物などを扱うお店、そこに中くらいの規模の多目的ホールがあり、コンチェルトケルンは年に2回Afterworkclassixというシリーズで演奏会を開いています。
コンサートは一般の方が仕事の後に直行できるよう、18時開場、19時開演。気軽に音楽を楽しんでという趣旨で本番は解説付き、演奏会の前、休憩、後も楽しめるよう、開場の後ろに飲食のコーナーが用意されています。会場は必ずしもクラシック音楽に適した音響ではないものの、色々工夫してずいぶん良くなりました。普段はテレビのドイツ版お宝鑑定番組やトークショーなど、またカーニバルの時期になるとパーティー会場としても使われています。
次の日はバスでオランダ・ライデンへ。3時間半くらいの移動。
秋の気まぐれなお天気の中、幸い大雨にはならず。
会場はこちら。スタッヘホールザールです。
このホールは音響が素晴らしく、ここでも年に2回ほど本番があります。
最終日はベルギーのスパ。ミネラルウォーターで有名な街です。昔から温泉郷として有名で、保養に来る人々で賑わう、こじんまりとした谷間の街。
19世紀後半に作られた公園には、なかなか素敵なギャラリーも。
公園内にはケーブルカーも設置されています。
この公園の中のギャラリーは1878年建築。国王夫妻の結婚25周年のお祝いに建てられ、舞踏会が催されたとか。今では週に1回蚤の市が出るそうです。
スパのコンサートでは何年かぶりにヴィオラダガンバ奏者のフィリップ・ピエロ氏に再開。大昔、トロッシンゲンで古楽の勉強を始めた時、彼は新米教授としてベルギーから通ってきていました。始めたばかりで暇だった彼のところに顔を出し、2回ほどガンバのレッスンを受けたのがきっかけ。その後、フランスの音楽祭でバタッと会ったり。数人いたヴァイオリンの学生の中で一番気に入ってくれていたようで(ガンバの方はちなみにその2回でギブアップ…。右側は音が高い、左側は音が低い、というヴァイオリン、ピアノでの感覚が邪魔をし、右側の音が低い!ガンバはなかなか厄介で、そのうち主科が超忙しくなり、残念ながら続きませんでした。)、今回もニコッとして”やあ、元気?長いこと見なかったけど”と声をかけてくれました。フランスの音楽祭では、ヴィオラダモーレでのバッハのコンチェルトBWV1055(チェンバロ版はバッハの自筆が残っていますが、その元となった版は紛失しており、オーボエダモーレでの復元版がよく演奏されます。音楽学者の間では幾つかの根拠から見てこの曲は元々はヴィオラダモーレ協奏曲だったのではという説もあり、じゃあと自分で復元してみたわけです。ヴィオラダモーレ版だと、オーボエダモーレでは演奏不可能な冒頭のアルペジオが弾けますし、当時のライプツィヒでのヴィオラダモーレの調弦法を見事に駆使した音域幅になります。)復元版を弾いた時に聞いてくれてましたっけ。彼が挑戦してみたバロックマンドリンを聞いたのが最後だったか、これは聞いていてハラハラしました。やっぱりガンバの方が合ってるよ…。本人はへへへと笑ってましたが。
プログラムはオランダ人メゾソプラノのRosanne van Sandwijkとのヘンデルのプログラム。同僚のMarkus Märkl がオルガン協奏曲HWV292を演奏し、その即興が素晴らしかったです。
(50歳の誕生日の記念にと、半年ほど休みを取り小型バイクでノルウェーの北まで旅行してきたばかりの彼。夏至の日に白夜を体験しに行ったようです。なんで軽二輪だったのか、本人曰く、その方が周りが見れるから、らしいのですが…。ドイツ人としてはとても小柄な彼が、小さなバイクに乗って走って行く姿を想像すると、なんとも微笑ましい光景です。)