クリスマスオラトリオ
新年明けましておめでとうございます。昨年は皆様に応援していただき、素晴らしい経験を得ることができました。今年もマイペース、健康第一でいきたいと思っております。
お正月になぜクリスマスかというと、キリスト教暦の上ではまだクリスマスは終わっていないからなのです。もちろんキリスト教にも様々な宗派があり、お祝い事もその宗派によって違うのですが、クリスマスの儀式は新年に入っても続きます。(第6部は顕現節のためのカンタータで、1735年1月6日に初演されました。)
12月にバッハ・クリスマスオラトリオのツアーで、オランダ各地、ドイツのブラウンシュヴァイク、ハンガリーのブダペスト、そしてコンチェルトケルンのホーム、ケルンでの計9回、全6曲演奏の機会がありました。会場は教会の時もありコンサートホールの時もあり、その会場に合わせての音作り、曲作りのため、本番前のリハは欠かせないものです。
こちらはライデンのピータース教会。天井の高いとてつもなく大きな石造りの空間。
オランダ・フランドルのルネサンス絵画そのままの空間です。
ブダペスト・リスト音楽院のホール。木造のややこじんまりとした長方形の箱。素晴らしいアールデコの内装がそのまま残っています。ウィーンの楽友協会を少々小さくしたような感じで、音響も素晴らしい。
12月29日のケルンでの本番は、フィルハーモニーに立ち見が出るほどの満席。この本番は他の企画がキャンセルになって急遽コンチェルトケルンに打診が来たもので、実はコンチェルトケルンは12月25日にクリスマスプログラムでフィルハーモニーにのっていました。
クリスマス、そして大晦日と、ヨーロッパ人にとっては日本のお正月と同じく家族との大事な時季。そのためツアーのメンバーとは部分的に違ったので当日の本番前リハが長く、通奏低音グループの連中は多分本番後ほとんど死んでいたかと思われます。それでもよく弾いていたのは、やはり9回目の本番だったからでしょうね。
というわけで、楽屋にはリンツァートルテを差し入れ。クリスマスに焼くというお宅もあるオーストリアの伝統的なお菓子で、ケシの実のパイと並んで特に男性に人気のあるお菓子です。生地にはナッツ、そして甘酸っぱいあんずや李などのジャムをたっぷり入れて焼き上げ、数日寝かせます。
3時間近くのコンサートでしたが、お客さんは皆幸せにお帰りになったようです。クリスマスの時期にクリスマスのお話を音楽で体験する、オラトリオの原点とも言える貴重な演奏会でした。
クラシック離れが懸念されるドイツの現在の音楽事情ですが、まだまだ伝統は健全のようです。